自我との戦い
当社は、若いスタッフをかなりのスピードで昇格させ、場合によっては、部下を持たせるポジションにつける。
そうなると、人間として未完成な状態で、チーム運営をしようとするので、問題解決するよりもまずは 小手先のテクニックで、人間関係を良好に保とうとしがちだ。
だが、これは、人間の成熟度を超えるアサインそのものの問題で、本人たちの問題ではない。だから、時間をかけて、じっくり育てればよいのだが、若い力で伸びてきた当社の新たな挑戦のステージだと思う。
実際に、入社以来順調に昇格し、チームを持ってマネージャ一歩手前で壁に当たっている男がいる。
上司からの厳しいFBに強く戸惑っているのがよくわかる。
だがしかし、彼は、今自尊心を捨てて、FBから逃げずに、大きな壁を越えようと必死にもがいている。 慣れないネクタイをしめて、苦手な営業に出かけ、お客様の声を聞きながら、そのインサイトを報告して商品化するという難しいミッションに正面から向かっている。
こういう根本的に自分の能力や人間性の欠如に向かいあうとき、その後のキャリア人生の大半が決まる。
逃げずに壁に向かう者は、例外なく成長し、一皮向けた大人になる。そしてこの経験が、部下に慕われる厚みになる。
面白いことにそんな彼の変化をみて、上司以外の役員からの評価が高まり、今後の彼のキャリアについて、前向きな議論が出ている。
頑強な自我と戦い、素直に成長しようとする彼の未来は明るい。なぜならば、こういう困難なときにこそ、人間形成がされ、いずれまた、彼が多くの部下をもった時に、人間的厚みをもった上司として指導することになるだろう。
当社の役員は、例外なく、こういう時期を過ごし、逃げずに自分と向かい合った者ばかりである。
社名の由来にあるこのステップを彼もまた、潜り抜け、私たちのマネジメントチームの一員になってほしいものだ。