コピーの天才
営業部門を代表し、エンタープライズクライアントに特化した採用ビジネスをリードする当社の常務は、2006年に人材メディアの営業マンを卒業して入社してきた。
この業界出身のほとんどのスタッフが当社入社後苦労するように、彼もまた出来上がった商品を売ることで評価されるシステムで育っており、入社当初は泣かず飛ばずで、まあ、いつ辞めてしまうか、と思ったこともあった。
だがしかし、意外な根性を見せて、新しい世界で奮闘し、少しずつ社内でのポジションをつかんでいった。
10数年、一緒に仕事ができたことを振返ると、彼なりの頑張りと彼の動機付けが満たされる環境にあったといえるだろう。
個性派集団の当社にも、数少ない知的センスを発揮するスタッフがいて、例え年下であっても、彼は、彼らの存在に刺激を受け、自らがお山の大将にならないことが、動機付けであったのだ。
僕もまた、彼を褒めたことはなく、数年前まで、いつもコテンパンに叱っていた。
また、良き顧客のトップにめぐり合い、人間としての振る舞いや考え方について教わることも強く影響したに違いない。
彼は、本を読むような男ではないが、ロックオンした先輩諸氏から良いところを盗むことにどうやら長けているようだ。
そういう学びの方法もあるのだな、というのが、僕の学びである。
今の彼は、膨れ上がったチームのスタッフのこと、次に超大手のお客様、最後に会社の数字を考えている。
入社の頃に比べれば格段に良い男になってきたと思うが、後は、不健康な生活態度を改めてくれないものか、という杞憂は消えない。