「要するに馬鹿なんだ」
奥田さんの 2005年のベストセラー。
当時読んだときは、痛快小説として
「ワハハ」「ガハハ」と笑いが止まらず
「あー面白かった」で終わった本だ。
サウスバウンド(奥田英朗)
10年たつと、僕のような凡人でも、
多少は、変化あるいは成長するらしく
今回は、細かい描写や台詞にのめりこみ、
ちょっと、感動したりしたものだ。
最後のほうに、こんな台詞がある。
元過激派で、無茶苦茶な父親が、息子に
伝えるセリフという場面だ。
「お前は、お父さんを見習わなくていい。
お前の考え方で生きていけばいい。
お父さんの中にはな、自分でもどうしようも
ない腹の虫がいるんだ。
それに従わないと、自分が自分じゃなくなる。
要するに馬鹿なんだ」
ちょっと長い小説だけど、
この一言で、人生の真実を表していて、
軽いビジネス本など読むよりも、よっぽど
味わい深いものだ。