新人教育における「仕事の基本」とは何か?
社会経験のない学生を新卒で採用するという
ことは、「仕事の基本を会社が責任をもって教える」
ということである。
このことを知らない(おこなわない)企業や
学生は、「不幸」以外の何者でもないが、
中堅企業以下のかなりが、そこに含まれる
と思う。
では、「仕事の基本」とは何か?
挨拶の仕方や、電話の取り方、あるいは、
コミュニケーションにおけるホウレンソウ
などいろいろあろう。
だが、これらは、スキルやテクニックであって、
いずれも、時間が解決するものだから、新人研修と
称して、長々と拘束するよりは、基本を伝えたら、
後は、現場で業務を通じて、鍛えれば良い。
配属された上司や、採用した人事部が
1年を通じて、本当に
教えるべきことは、別にある。
それは、
「任された仕事は、決められた納期、品質を
持って、完遂しなければならない。」
ということである。
これを厳しく追求するところに、社会人としての
成長があり、学生から本当の意味で脱皮できるのである。
よく言う「自責思考」は、この行為のメンタル面
を語るときに使われる言葉だ。
会社を20年ほど経営してきて、
このことを理解、体験している中途入社者は、
まあ、30%以下である。
そのくらい、知的筋力が鍛えられていないので、
売りが「業務経験」だけになっている。
これでは、業務がばんばん変化する時代に
賞味期限が保てない。
しかも、その30%のうち、ほとんどの場合、
個人としてのパフォーマンスであり、
(例えば、確立した商品の売上を如何に上げるか、など)
組織で協働し完遂経験のある人は、10%にも
満たないのが、現実で、彼らを鍛えに鍛えて、
戦わざるをえないのが、中小企業である。
これが、中小企業の採用と人材力の実態であろう。
10年前に、上場一流企業のパートナーとなる
壮大な目標を掲げたときに、一番の課題は、
この「仕事完遂のコミットメント能力」だった。
なぜならば、こうした企業は、このDNAは、
人材組織力の基本として、しっかり備わっている
はずなので、この武器がないと彼らに「いいね」
と言ってもらえないからだ。
多大な借入をして、新卒採用に、
身分不相応な大型投資したのは、
こういう背景がある。
今では、数人の中途採用したリーダーに
特化して、この「チーム・コミットメント」を
丁寧に教えているが、彼らと接していて、20歳代
前半に、こういうことを教わらないことが、こんな
に人を苦しめるのか、ということを切実に感じて
いる次第である。