過剰サービスが、能力を蝕む
昨日に続いて、日経新聞 経済教室
1月20日は、オックスフォード大学
苅谷剛彦教授だ。
この記事は、実に、面白く新しい
発見であり、紹介したい。
よく海外に行くと、サービスの低さに
辟易とする。フライトやホテル、タクシー
やレストランに至るまで、日本のサービスの
高さに慣れた私たちにとって、それが常識であり、
「海外は、これだから、むかつくよなあ」
で済ませてしまう。
ところが、苅谷先生の主張は、このサービス過剰が、
世界に通用しないガラパゴス化を招き、ひいては、
賃金上昇を抑える大きなドライバーになっている
という内容だ。
いまや、大卒就業者の1/3が所謂サービス業であり、
医療福祉が44%、小売・卸が18%を占める。
問題は、サービス業は、製造業などに比べて、
国際競争力にさらされないことだ。
大卒就業者が増え、理論的には、生産性が上昇し、
賃金が上昇しなければならない。
ところが、彼らのスキルは、生産性向上に
向かわずに、他国ではありえない過剰サービス
に向かい、いうなれば、彼らの賃金上昇を
私たち消費者が、奪い取っているのでは
ないか、という論法である。
そうであれば、仕組みとして、確かにおかしい。
教育投資によって、与えられた付加価値が、
企業の生産性向上に結びつかない矛盾と、
考えられる人材教育をする必要性を、苅谷先生は
訴えている。